人間には何も見えていない

  • 2018.06.24 Sunday
  • 22:53

 

 しかしどのような人間の生活も孤立しては成り立たない。力も、運も、ものも、水も、天候の厳しさも分け合って耐える姿勢がなければならない。

 14日は一日中、7歳の女の子の遺体を遺棄したとされる23歳の会社員を追うことに費やされた。どんな理由があったのか、これから少しはわかってくるのだろうが、私は、人生の成功・不成功について時々考える。総理大臣になるのがいいのか、日本一の富豪になるのがいいのか、私には他人の好みは計りかねるが、最大の成功は、自分と他人を殺さないことだろう。なぜなら、人生の意義の第一は、与えられた生を文字通り全うすることで、その長さや質を自分で決めてはいけないものなのである。それは思い上がりというものだ。

 自分は何の役にも立たない老人だと思いこんでいても、最後のひそかな数日に他人を助けて死んだ人もいる。つまり人間には何も見えていないのだ。

 それでいい、それだからこそ、人は働けるのだし、何歳になっても希望と未来を持ち続けていられるのである。

 

(過日、産経新聞に掲載された曽野綾子氏の「透明な歳月の光」より抜粋)

 

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